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一 夢 庵 風 流 日 記

郵政民営化 疑問

  郵政民営化に対する公開質問で、新人議員小泉チルドレンがデビューした、
  片山さつき議員は官僚出身だけあって、まあまともな数字分析を行っての質疑応答をしていたようだ。
  しかし、あんなことはどうでもいい、ここでは視点を変えて、とても重要な質疑をしていた
  新党日本の滝まこと議員の指摘のひとつである、公社承継法人について書こう。

  郵政民営化の基本方針  平成16年9月10日
         閣  議  決  定

  (4) 公社承継法人
  ・郵貯と簡保の旧契約とそれに見合う資産勘定(以下、「公社勘定」と言う)を保有する法人を、
  郵政公社を承継する法人として設立する。
  ・公社勘定の資産・負債の管理・運用は、郵便貯金会社及び郵便保険会社に委託する。


  郵貯として今まで預かった約209兆5千億円(05.7月末)をどう処理するのか、かなり政府内でもめたようだ。

  (4)では、今まで預かった貯金は「旧勘定」として「承継法人」に移行するとしている、
  これは、別勘定にして新しい民営化法人=郵便貯金銀行には引き継がないようにしようとしているわけだ。
  今まで預かった郵貯は優遇策で支払い利子を乗せているから、新会社の経営を圧迫すると判断されたわけ。
  ここまではOK。

  「公社勘定の資産・負債の管理・運用は、郵便貯金会社及び郵便保険会社に委託する。」という部分についてだが、
  つまり、勘定は別勘定にするけれど、そのお金の管理・運用は新会社に任せるということ、
  別勘定を管理する法人は作らないということだ。これはおかしい、なぜか?

  別勘定を管理する法人を新たに設置し、本来ならば資産運用管理は
  別建てでいくのが透明性と公平性を保つ「あるべき姿」だ。
  ここで問題となるのは別建てなのに「管理だけ一元化」という考え方。

  ここで「本社とグループ企業」の連結決算を基に考察してみよう。
  連結決算であれば損出しの場合(欠損分や資産価値↓)は、
  最終的には本社つまり決算会計の統括組織体の業績に影響が出る。
  つまり益だしであればプラス、損だしであればマイナス、
  損きりの場合も統括組織体がマイナス分を被るということになるわけだ。

  翻って別建て組織でありながら、新会社が一括管理を行うという事は
  損きりや欠損分は「新会社」が引き受けるということにならないか?

  現在は簿価会計から時価会計に制度変更されたので、簿価上はわからない
  「大幅な含み損や不良債権」も時価会計では、かなり出てくるはず。
  BIS基準(銀行自己資本比率8%以上)導入にあたり、各行が抱える巨額の不良債権処理のため
  約70兆円の公的資金導入用の原資を国家予算割当で準備しているはず。

       となると・・・

  最大規模の家計貯蓄を預り運用してきた「郵貯」の場合、回収不能な不良債権や現在相当資産価値が
  目減りの隠れ債務も山積のはずだ。

  公的資金導入で追いつかないこれらの不良債権処理は「新会社」に吸収させる仕組は十分に考えられ、
  最悪の場合、「新会社」は不良債権ともども切り捨てる「敗戦処理会社化も想定内」とも考えられるのではないか?

   次回につづく


  先にひとつ言っておきたいのが、私は郵政民営化賛成論者で、以前から民営化促進派である、
  いまここで民営化に対する辛辣な意見を書いているのは、郵政民営化法案は通った、
  もはや勝った負けた、造反がどうこうという話は私にとってはどうでもよく、
  改革を前に推し進めた国民にとって一番良い郵政民営化を行って欲しいという理由で書いているのだ。

  反対派の前で腑抜けた法案になってしまった民営化案、しっかり見ておかないとボロボロにされる可能性大なのだ。

  9月5日の朝日新聞「改革論議のはざまで」に次のような記載があった。

  「民営化案では郵貯は、公社時代までの「旧勘定」と、民営化後の「新勘定」に分離される。
  旧勘定の貯金は満期などで順次減っていくが、その払い戻し原資を補うため、民営化した最初の年だけで、
  日本銀行の年間購入額に匹敵する規模の国債が売り出される恐れがあるというのだ。
  財務省側は、国債価格急落の危険性を即座に理解した。」



  これは郵貯が満期に来ても返済する資金がないということ。
  そのために国は新たに国債を発行して資金調達しなければならない事態に陥るということだ。続いても引用。


  「結局、運用は新旧勘定一括で行うことで、大量(国債)売却問題は封印された。
  「勘定の分離」は名ばかりのものとなった。
  積み上がった国の赤字を支える国債管理政策に、いまや郵貯は完全に組み込まれている。
  「郵貯が動くだけで危機が起きうる。簡単に(国債を)売り買いできる規模じゃない。
  日本郵政公社の幹部の言葉に、巨額の資金を民間に移す難しさがにじむ。」



  つまり、新旧勘定一本化すれば、新規契約者の入金を満期解約者の支払いに回す自転車操業が可能になるということ。
  郵貯は10年満期の定額貯金だから、10年後には旧勘定は0になる。
  しかし、新規契約の入金で自転車が回り続けるかどうかは不明、試算をきちんと示していない。
  こんなあやふやな定額預金を移行会社に預金する人がいるのであろうか?

  新聞記事は、どうにも曖昧な形で終わっている。

  自転車操業で「償還・満期解約の払い戻し」に「新たな国債発行」となると安定確実な家計貯蓄の対象として
  最も安全係数が高く支持を得てきた「郵貯」から他の預け入れ先や投資先へと
  「払い戻し金」が流出する可能性は極めて高くなるであろう。

  これまで最大の売り物だった「安全・安定・確実」な「一般家計の貯蓄先」であった郵貯の強みとメリット
  および新規発行国債引受けが円滑に機能しなくなる、つまり「新会社そのもの」が不良債権化するリスクがあるわけだ。

  「そんなんだったら外貨預金や他の金融商品にあずける」、
  現実、様々な商品に国民はお金を分散させることをおぼえたわけだ。
  客が大量に失せ再原資の皮算用の構図が崩れ、新規発行国債はジャンク化し、
  国はますます財政投融資の原資調達に苦慮することとなる。

  最悪のシナリオは「日本に金が回らない」状況だ。
  お金がまわらない以上、日本は破産となる。       

                      次回に続く




  郵政民営化による移行期間中(10年)は、新旧勘定を一緒にして
  旧勘定の破綻を隠蔽しようとしているようではないのか。

  この隠蔽を分類すると

  (やむを得ない隠蔽)
  もともと郵貯の設計が、民営化も含めていつかは終わるということを想定していなくて、
  未来永劫続く制度だとしているから、「返済」のシステムが織り込まれていないこと。

  (意識的な隠蔽)
  旧勘定をそれ自体として精算すれば、貸し付けた資金の4割程度が腐っていて回収不能なことが明るみに出ることを防ぐ。

  この2種類、どっちが今までの政府に対応しているかは・・・
  郵貯や簡保が新旧勘定のまま運営される理由は以上述べたとおり。



   1.郵貯償還するキャッシュが旧勘定に存在しない。
   2.旧勘定の郵貯を清算すると、郵貯を財源とした財政投融資が不良債権化していることが明るみに出る。
   3.国債の暴落が始まる。

  こういう理由で、旧勘定(郵政公社以前の郵貯契約)を切り離して、移行会社は運営することは許されなくなった。
  しかし、これは民営化=民間銀行化への移行に対して10年間の時間稼ぎにしか過ぎない。
  実は、新旧勘定のどんぶり勘定化によって、本質的な解決は何も図られていないからだ。

   次回に続く・・・


  移行会社が旧勘定の満期解約資金を新規契約者のキャッシュで手当てしたとしても、
  10年後の完全民営化の時、移行会社はいったい何を民営化された民間銀行に引き継ぐのであろうか。

  単に新規契約の負債だけを引き継ぐのか。
  負債に見合った資産はキャッシュとして旧契約者に支払ってしまっていて、移行会社には現金資産も優良資産もないのだ。

  つまり、これから起きる新旧勘定の矛盾の先送りでしかない。

  結局、自民=官僚政治の典型、「先送り」がこの「大改革」と呼ばれている政策のど真ん中に居座り続けているわけだ。

  郵便事業が黒字という「カラクリ」は、郵政公社発表の財務諸表を見れば一目瞭然だ。

  全国2万の特定郵便局が平均年間2千万円近い赤字。
  その赤字は都市部の郵便局の黒字と郵貯簡保の取扱い手数料で埋めている状況。
  後数年もすれば郵便事業全体の赤字は避けて通れないであろう。

  メールがどんなに普及しようとも、手紙葉書きによるコミュニケーション手段は若干の目減りはしても、
  劇的な変化は起きないと考える、公的な文書、記念日などでの使用頻度は一般社会で生きている人間からすれば、
  当たり前のように必要なものだからだ。

  赤字に向かう郵便事業は廃統合は避けられず、小泉首相が言っていた過疎地は保護の言葉は、
  任期を終えれば空洞化、10年後の民営化の頃には真剣に赤字地域の郵便事業、郵便局は廃止になっていくことだろう。

               全4回完

         (10.17~10.28の日記より転載)


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